2025.1.31
健康経営 セルフケア便秘の原因は座りすぎ?デスクワークに潜むリスクとセルフケア
便秘は個人の問題とされやすい事柄かもしれませんが、「座りすぎ」という職場環境があるのであれば大きな要因の一つになることが考えられます。実は便秘による死亡リスクの上昇や、心的不調の要因になることなども報告されており、たかが便秘と思われがちですが見過ごすことのできない不調であることがわかります。この記事では「職場環境」により引き起こされる問題から、特に便秘に関することで企業や個人でできる取り組みなどをご紹介しています。
「座りすぎ」の現代人が抱える問題
「座りすぎ」が引き起こす問題は多岐に渡ることが複数の研究結果で示されています。さまざまな健康課題と座位時間との研究がなされています。一部の国においては、身体活動の推進に加えて、座位行動の縮減が国レベルの政策として掲げられ始めています。特に日本人の座位時間は世界で最も長いとされているため「座りすぎ」の対策は健康経営を進める上でも重要項目となることが考えられます。
京都府立医科大学の研究グループは、6万人を超える日本人を7年間追跡したデータを用いて、座っている時間が長いほど死亡リスクが増加することを確認しています。また、長時間座り続けることで血流や筋肉の代謝が低下してしまいそれに伴いさまざまな問題が引き起こされることがわかっています。
「座りすぎ」が引き起こす問題として以下のものが挙げられます。
- ◉心筋梗塞
- ◉脳血管疾患
- ◉肥満
- ◉糖尿病
- ◉がん
- ◉認知症
- ◉メンタルヘルスの不調
このように「座りすぎ」が引き起こす問題が多岐に渡ることからも、近年では様々な観点からの研究がなされ分析結果の報告がされています。
長時間連続して座り続ける状態が続くとより健康リスクを高めることもわかっており、こまめに立つ方がこれらの健康リスクを回避することにもつながるとされています。長時間座り続けることにより全身の血液の循環が低下し、さまざまな問題を引き起こすことが言われているのです。
「座りすぎ」は便秘を引き起こす?
「座りすぎ」による死亡リスクよりも小さな事柄に感じられる「便秘」ではありますが、実は便秘も見過ごすことのできない問題につながっています。
長時間座っていることで、全身の血液循環が低下することは前述しましたが、これにより腸の働きも低下することで便秘につながりやすいとされています。また、デスクワーク中は腹部の活動が低下することも一つの要因になりやすいことや、臀部の血流が滞ることによって自覚のないうちに痔などにもつながる場合もあります。また便秘になることによっていきむ必要が出てくるため、痔の悪化などにも影響を及ぼし悪循環を引き起こす場合もでてきます。
便秘は死のリスクを高める?
たかが便秘と思われがちですが、実は便秘の人とそうでない人を比較した研究があり、その結果便秘の症状がある場合は生存率が20%低いという報告もあります。便秘が直接的な死亡原因ということは考えにくいですが、便秘が死亡原因となるリスクを引き起こす可能性が示唆されていることが考えられます。(※1)
(※1)Chang JY , et al.“ Impact of Functional Gastrointestinal Disorders on Survival in the Community” Am J Gastroenterol. 105(4): 822-832, 2010.
また慢性便秘症を抱える人の6割程度にうつ,不安などの心的な要因も認められており、心理検査では心理的異常を示すスコアが便秘を有していない人と比べて有意に高いことが報告されています。
便秘の定義
何日以上でなければ便秘と見なすかは一律ではなく、排便のリズムが重要で、便の状態と、日常生活に支障をきたす場合に便秘とされることが多いです。例えば毎日排便があったのに、週2〜3回に減ってしまった場合などは便秘の可能性が考えられます。
慢性便秘症診療ガイドラインによると「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」としています。
簡単に説明すると以下のような状況であると考えられます。
- ◉便量が少なくなっている
- ◉うさぎのようなコロコロとした便が出る、硬い
- ◉頑張らなくては便が出ない(強いいきみなど)
- ◉排便困難感や残便感がある
- ◉膨満感など排便後にも不快感がある など
便秘の原因
便秘の原因と考えられるものは5つ程度あります。
- 1.食生活の偏り
- 2.水分不足
- 3.運動不足
- 4.ストレス
- 5.疾患の影響によるもの
便秘の原因もさまざまにあるため、座りすぎであることによって必ずしも便秘が引き起こされるわけではありませんが、一つの要因になると考えられます。
便秘はさまざまな要因により引き起こされるものです。快便であることは一つの健康のバロメーターになりますので日頃から意識して過ごされることをおすすめします。
企業でできる取り組み
個人だけで座りすぎによる身体に引き起こす問題への対策は難しく、企業側が率先して取り組む必要があります。以下の企業の取り組み事例をご紹介します。
[ネスレ日本]
・座りすぎがもたらす健康リスクに関するイベント
・職場でできる筋力トレーニングなどの紹介
[一般社団法人 明治安田健康開発財団]
◉スタンディングデスクの活用
◉1時間ごとに曲に合わせて全員でデスク周りを歩く
◉階段を意識して利用
◉徒歩/自転車通勤
◉椅子をバランスボールに変える
食生活の改善に取り組んだ事例もご紹介させていただきます。
[株式会社オートバックスセブン]
置き型社食®の「オフィスおかん」というサービスを利用し手軽に健康的な野菜などが入った食事を摂れるようになり、健康状態の改善につながるという取り組みをされています。便秘の原因の一つである食生活の偏りが解消されることで便秘のリスクを減らすことにつながります。
個人でできる取り組み
次に個人でできる取り組みをご紹介します。
長時間の「座りすぎ」の対策に有効なことは「こまめに動く」ことです。
- ◉タイマーなどに合わせて立つ時間を作ること
- ◉デスク周囲にものを置かず、あえて立つ必要性を作る
- ◉デスクで座ったままできるエクササイズなどを取り入れる
今回は便秘について個人ができるストレッチや対策についてご紹介します。
ストレッチ
身体をひねる動作を入れることで腸の動きを促していきます。深呼吸をしっかり行うことも合わせて行うとより効果的です。 骨盤は真正面に向き、上半身だけ動かすように意識しましょう。ひねる動作はデスクワークをしている中ではあまり行わない動作であり、ひねることは腸内の動きを促すことにもつながるため有効なストレッチとなります。
排便時の姿勢
- ◉便座に座る姿勢を整える
座り方を変えるだけで便が出やすい姿勢を作ることができます。
身体を少し前傾させ、踏み台などを置き足を少し高くすることで便の通り道が通りやすくなり排出をスムーズにつなげてくれます。
まとめ
「座りすぎ」によって起こる身体の不調として、命に関わるものから慢性便秘による身体的な弊害、そして社会的損失にもつながることをお伝えしました。
オフィスで働く従業員にとっては喫緊に改善しなくてはならない課題です。
日々の積み重ねが、大きな影響につながります。「座りすぎ」によるリスクを少しでも回避できるようにできる対策を少しずつ取り入れていきましょう。
〈記事執筆〉
熱海 優季
【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了
【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』
【取材掲載】
- ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
- ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修 - ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
- ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿
これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。
新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。
また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。
弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。
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