2025.5.3

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

【理学療法士が解説】女性活躍の時代だからこそ知っておきたい女性特有の身体の悩み「子宮と卵巣」

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SNSなどの普及により女性特有の健康課題が顕在化されるようになり、それに伴い課題解決のための製品やサービスなどが急増しています。基本的なからだの知識を備えていることは、製品やサービスなどを選ぶ際に重要な役割を担ってくれます。まず女性のからだの特徴である子宮と卵巣について基本的なことを解説していきます。

【理学療法士が解説】女性活躍の時代だからこそ知っておきたい身体のこと「子宮と卵巣」

知っておきたいからだのこと「子宮と卵巣」

女性は、ライフステージの変化に伴い身体の不調や悩みが変化していきます。一番初めに起こる変化としては、初潮です。ホルモンのバランスが一気に変化し、メンタル面での不安定性もみられるようになってくるのがこの年齢です。PMSや生理関連の不調を感じることが多くなります。生理に関連した不調を感じたことのある人は約8割にもおよび、多くの女性が何かしらの症状に悩んでいることになります。そして妊娠〜出産があったり、その後は更年期を迎えることになります。妊娠・出産は個人によって異なりますが、初潮〜更年期に関しては生理のある女性であれば誰にでもやってくるものです。

女性特有の健康課題の多くは子宮と卵巣の機能が大きく関わっているため、女性の健康を支えサポートするためには子宮と卵巣についての知識を持つことは重要です。

子宮と卵巣

子宮と卵巣の構造

子宮と卵巣の構造

[子宮]
赤ちゃん(受精卵)を育てる空間。妊娠していないときは、鶏卵くらいのサイズ。

[子宮内膜]
赤ちゃんの卵(受精卵)が着床する場所。この子宮内膜が剥がれ落ち、生理(出血)が起こる。
子宮内膜の厚みは生理周期によって変化し、排卵日に向けて子宮内膜を厚くし受精卵のベッドを作る。

[卵巣]
卵子が蓄えられている場所。卵子のもとになる卵があり、排卵日に合わせて卵子を放出する。

[卵管采]
卵巣から放出された卵子をキャッチする。この部分はイソギンチャクのような形をしています。

[膣]
精子を取り込む。出産のときは産道になる。

子宮の役割

子宮の大きな役割の一つは、赤ちゃんを育てる場所ということです。女性は生殖のために月経周期を繰り返しています。生理そのものは初潮から閉経まで約35年くらいとされています。その間、妊娠が成立すればその期間は生理が止まります。産後から授乳期間が長いと生理もお休みしている期間が長くなる傾向にあり、授乳を終えると生理が再開する方が多いです。

卵巣の役割

卵巣は生殖器官として重要な機能を持っています。主な機能として、月経周期に合わせて卵子を成長させ放出し、受精を可能にする働きを持ちます。受精卵になったのちに妊娠を継続するためにも重要な働きをしています。それはホルモンを産生し分泌することです。このホルモンの働きが女性にとって重要でありますが、ときに体の不調をもたらす場合もあります。
卵巣は主に女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンという主要な二つのホルモンを分泌してます。エストロゲンは月経周期の調節や生殖器官の発達、骨密度などに影響を与え、プロゲステロンは妊娠の準備と維持に関わっているというのがよく知られている機能です。しかし実際はもっと多くの器官に影響を与えているとされています。

子宮/卵巣に多い疾患

子宮/卵巣に多い疾患

[子宮筋腫]
子宮の筋肉に発生する良性の腫瘍です。主な症状として、月経痛や月経過多、過長月経、不妊などがあげられ、妊娠が可能な年齢の女性に多くみられる疾患です。治療法には薬物療法や手術などが行われますが、症状があまりない場合は経過観察が可能です。子宮筋腫の症状は部位やサイズによって異なり、日常生活に支障をきたす場合は手術などの選択肢があります。30代~40代に多く、20~30%程度の女性に子宮筋腫があると言われており、社会的な影響は大きいとされます。

[子宮内膜症]
子宮内膜症は、子宮内膜が子宮以外の場所に発生する疾患です。子宮内膜は妊娠に備えて厚くなり、妊娠しなかった場合には子宮内膜が剥がれ落ち、生理になります。本来であれば子宮にしか子宮内膜はありませんが、子宮内膜やそれに似た組織が子宮以外の場所に発生することがあります。子宮以外の場所にできた子宮内膜が原因となってさまざまな症状がおこる病気が子宮内膜です。20代~40代に多く、子宮筋腫同様に社会的な影響も強いといえます。

[子宮頸がん]
ワクチンによって防ぐことが可能とされていますが、ヒトパピローウイルスの感染が多くの場合関わっているといわれています。性行為によって感染するウイルスで、子宮頸がん患者さんの多くは30歳代後半の女性に多いとされていますが、近年は20歳代でもこの疾患にかかる人が増えています。
早期では症状が出ない場合がほとんどであり、進行すると異常なおりものや、不正出血、性交中の出血、下腹部の痛みなどの症状があります。

[子宮体がん]
子宮体部の内膜という部位に発生する悪性の腫瘍です。閉経後の女性に多く、不正出血から見つかる場合が多くあります。女性ホルモンの一つであるエストロゲンが関わっている場合が多く、肥満、月経不順、遅い閉経、出産経験がない、エストロゲン製剤を飲んでいる方などが多いとされています。主な症状としては、不正出血です。

[卵巣嚢腫]
卵巣にできた袋状の腫瘍の中に液体がたまって大きくなった腫瘍です。ほとんどの方には症状がなく、検診などの検査で見つかる場合が多いです。
腫瘍が小さい場合は症状はほとんどありませんが、大きくなると腹部膨満感や下腹部痛、頻尿、不妊の原因になっている場合もあります。

[多嚢胞性卵巣症候群PCOS]
卵巣内部に球状の空間が複数できる病気のことを指し、男性ホルモンがたくさん作られてしまうことによって排卵をしにくくなります。その結果不妊症を引き起こす場合があります。症状としては月経不順、不妊、多毛、にきび、声が低くなるなどの男性化、肥満などがあります。多毛やにきびなどの男性化はみられず無月経を主訴に受診する人の割合も多いです。

生理痛/PMS/更年期障害に関して

[生理痛]
生理痛を経験したことのある方の割合は8割といわれていますが、実際はほとんどの女性が程度の強さは個人差がありますが、経験したことがあるのではないでしょうか。
生理痛はあるのが当たり前という風潮もあり、市販の痛み止めなどを使用してごまかしながら生活しているという方がとても多いといわれています。
生理時の症状が重く、日常生活に支障をきたす場合は注意が必要です。先ほど述べたように何かしらの疾患が隠れている場合があるためです。

[病院に行く目安]

  • ◉仕事や学校を休むほどの痛みや症状がある
  • ◉経血量が多く、日中も夜用のナプキンを使用しなければならない
  • ◉経血量が多く、交換頻度が1時間おき
  • ◉生理期間以外の出血がある場合
  • など

[月経前症候群 PMS]
PMSという言葉も近年よく耳にするようになってきていると思います。PMSは月経前症候群といって生理周期に伴って生理が開始される前の期間に、イライラ、気分の変動、落ち込み、身体的不調などを訴えます。生理が開始されると、これらの症状は治まることが特徴です。

PMDDはより精神的な症状が強い場合であり、日常生活に大きな支障をきたしている状態であることが多いとされています。

[更年期症状]
更年期の症状も個人差が多いですが、女性ホルモンであるエストロゲンの減少によりさまざまな症状をきたします。ただホルモンだけの影響ではなく、社会的な背景や心理的な状況などの要素も大きく関係しています。詳細はこちらの更年期コラムをご参照ください。

◉セルフチェック項目

まとめ

女性が活躍する現代で、女性特有の健康課題を知ることは重要であり、また体の機能や構造などを理解することも支援やサポートの一助となります。どのような理由で女性特有の健康課題が生じるのか、本来の体の働きなどを知ることで、必要な支援や対策をすることが可能になります。症状に合わせた具体的な対策や支援方法はそのほかのコラムでもご紹介していますのでぜひそちらもご確認ください。また女性特有の健康課題への対策として、弊社でもウェビナー開催やワークショップなども開催しています。お気軽にお問い合わせください。

〈記事執筆〉

熱海 優季

【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了

【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』

【取材掲載】

  • ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
  • ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
    「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修
  • ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
  • ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿

これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。

新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。

また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。

弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。

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