2025.7.5

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

【理学療法士が解説】女性特有の不調にストレッチは有効か?科学的エビデンスをもとに解説

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女性管理職や働く世代の女性において、PMSや更年期障害、慢性的な冷えや倦怠感といった“未病”の状態が業務パフォーマンスや組織エンゲージメントに影響を与えているという報告が近年増えています。しかし、そうした不調は「体調管理」や「気合い」の一言で片づけられてしまうことも少なくありません。医療や生理学の分野では、ストレッチが自律神経機能の改善や精神的ストレスの軽減、血行促進などを通じて、女性特有の不調に対して有効な介入手段となることが多数の研究で報告されています。今回、“科学的に立証されたストレッチの効果”に焦点を当てながら、企業にとっても個人にとっても持続可能なストレッチに関してお伝えします。

可視化されにくい不調の背景にあるホルモンと自律神経の関係

ホルモンと自律神経の基本的な役割

【ホルモン】
血流を通じて全身に作用するメッセンジャーの役割を担っています。女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンなどは女性の月経周期や妊娠、更年期に深く関与しています。

【自律神経】
交感神経と副交感神経からなり、呼吸・心拍・体温・消化の働きなどを無意識に調整しています。

【ホルモンと自律神経の関係】
・視床下部(脳)
ホルモンと自律神経の両方を統括する中枢部位であり、視床下部で互いに密接に連携しあって身体の調整を行っています。

◉女性ホルモンであるエストロゲン
エストロゲンは自律神経の特に副交感神経を介して全身のバランスを調整していると言われています。ストレスにさらされると交感神経が優位に働くとされています。
参考論文:エストラジオールと自律神経の相互作用

◉月経周期や更年期
ホルモン変動は自律神経のバランスに影響を与え、不眠・冷え・情緒不安定などの不調を引き起こすことがあります。閉経前後の女性では、エストロゲンの低下により副交感神経の活動が低下し、交感神経が優位になる傾向にあり、心拍変動を用いた研究で示されています。

女性の健康課題としての未病と社会的影響

月経・更年期・不妊治療などにおける労働損失は年間3.4兆円にものぼると経済産業省が試算しています。たとえば、日本医療政策機構の調査によると、月経に伴う症状や更年期症状があっても医療機関を受診していない女性が多数することが報告されています、特に20~40代では多忙や相談のしづらさなどから受診を控える傾向が強いとされています。症状があっても行動を起こさない層が全体の半数を占めるというデータもあります。月経や更年期による不調があっても出勤しパフォーマンスが低下している女性は約86%というデータも出ています。
経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失」

こうした我慢の背景には
「不調を言い出しにくい職場文化」
「制度があっても使いづらい雰囲気」
「自分の不調を”たいしたことない”と感じてしまう思考・認知」など社会的・心理的なバリアが複雑に絡んでいます。
こうした「我慢して働いている」状態そのものは”プレゼンティーズム(出勤しているが本調子ではない状態)”の大きな要因となっています。

ストレッチが身体に及ぼす科学的効果

月経に伴う不調は、例えば月経時には子宮の収縮を促すプロスタグランジンという分泌物質が増加し、下腹部痛や腰痛、冷え。むくみなどが起こりやすくなるとされており、ホルモンバランスの変動により情緒面の不安定なども生じやすくなるとされています。更年期に伴う不調においては、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な低下によって自律神経の不調が現れやすくなるのですが、このエストロゲンは冒頭にもお伝えしたように副交感神経の活動に影響しているため交感神経が優位になりやすい状態が続きやすいと言われています。
エストロゲンの機能とストレス2019

月経や更年期に伴う不調に対してストレッチの効果が期待できる理由としては以下になります。

1.筋肉の緊張緩和と自律神経の安定化

私たちの筋肉は単に動かすためだけの組織ではなく、神経系と密接に連携しながら筋肉の緊張と弛緩を調整しています。とくに自律神経である交感神経が優位になると筋肉はいわゆる「戦闘モード」になるため無意識に緊張状態になります。反対に副交感神経は休息時に働く神経なので筋肉を緩めるように促してくれるのです。
ストレッチ中の深呼吸や意識的なリラックスは脳を介して副交感神経を優位に導くことが示唆されているため、ストレッチにより副交感神経のスイッチをいれるきっかけになると言われています。

2.血流促進と冷え・むくみの軽減

月経周期や更年期による女性ホルモンの変動は、自立神経や血管の収縮・拡張に影響を与え、末梢血流が不安定になりやすいと言われています。また長時間のデスクワークやストレス、冷房環境なども血流障害の要因になります。
ストレッチによる血流促進のメカニズムとして、ストレッチを行うことで筋肉に一時的な筋肉の血流減少が起こり、ストレッチを解除すると血流が急激に回復・増加する現象が起こります。

3.神経系の作用とストレス軽減

低強度の運動やストレッチのあとには副交感神経活動が優位に上昇し、同時に「不安・緊張」「抑うつ」のスコアが低下したという研究もあります。副交感神経が優位になることで、末梢血管の拡張や血圧低下に寄与します。
運動後の副交感神経活動と心理効果

ストレッチを「習慣化」するための対策

ストレッチは運動の中でも心理的なハードルが最も低いとされており、カルフォルニア大学の研究(weinberg et al.,2006)にとると「運動が苦手であまり好きではない人」でもストレッチは約7割の人が「快適」と評価しています。また実感が得られやすいものであるため短時間でも行動を起こした事実として残るため小さな成功体験につながりやすいものです。

運動が続かないのは意志の弱さではなく「仕組み」の問題とされているので以下のような手順で生活に組み込むことができることが目標です。内的動機付けが最も重要であり、「やらなきゃ」ではなく「やりたい」理由をはっきりさせることが継続のカギとなります。自分にとって意味のある目的を明確化させることが大切です。以下はご自身にあった形で取り入れやすいものを生活に組み込んでみてください。

【習慣化の原則】
◉トリガールール
「歯磨き後に肩回し」「お風呂上がりに股関節ストレッチ」など、既存行動に結びつける

◉トリガールール
「歯磨き後に肩回し」「お風呂上がりに股関節ストレッチ」など、既存行動に結びつける

◉小さな成功体験
「1日10秒だけ前屈をする」「寝る前に1ポーズ」など小さな1歩を継続

◉報酬とドーパミン
達成感を可視化する。カレンダーに記入するなど。

◉環境設定
ヨガマットを出しっぱなしにするなど

◉自己効力感の強化
続いた日数などを記録し目に見える形で証拠を積む

働く女性の健康のサポートは経営資源

健康施策は”投資”であるという視点を持つ

多くの女性は、PMSや更年期症状、冷え症といった身体の不調を抱えながらも、その症状の見えにくさゆえに業務に支障が出ていることが企業側に伝わり現実があります。痛みや倦怠感により集中力が低下したり、欠勤や早退につながったりすることもありますが、当事者自身が「我慢するもの」と考えていることが多いため、問題が表面化しづらい状況にあります。

体調不良による「プレゼンティーズム」のコスト

実際の欠勤(アブセンティーズム)よりも大きな損失を生むとされているのが、「出勤しているのに本来のパフォーマンスが出せない状態=プレゼンティーズム」です。特に前述したように、女性特有の不調(月経周期に伴う不調や更年期障害、慢性的な冷えや倦怠感)は業務を「何とかこなす」ことはできても、集中力・判断力・対人対応の質に影響を与え、生産性を下げる要因になります。

ストレッチ導入による損失へのアプローチ

ストレッチのような手軽な健康支援政策は有効な手段となり得るとされています。身体の緊張緩和、自律神経の調整、リフレッシュによる集中力の回復など、科学的根拠のある介入がパフォーマンス改善に直結します。

まとめ

女性の不調は単なる体調変化ではなく、ホルモンと自律神経の繊細なバランスに支えられており、それに伴う不調の多くは当事者も含めて「我慢すべきもの」とされ、可視化されにくく企業側としても見えにくいものでした。しかしSNSなどの発展により課題が顕在化されるようになり企業側は対策を講じる必要性が出てきています。弊社では企業内に出張し、社員様の身体状況をチェックした上でストレッチを提供し、身体的不調を改善するサービスを提供させて頂いております。また、企業様向けにヘルスリテラシーに関するセミナーやイベント、グループセッションなどの提案も行っていますのでぜひお気軽にお問い合わせください。

〈記事執筆〉

熱海 優季

【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了

【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』

【取材掲載】

  • ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
  • ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
    「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修
  • ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
  • ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿

これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。

新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。

また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。

弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。

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