2025.10.21

健康経営 福利厚生

3つの現場、3つの声──土木・IT・物流、それぞれの働き方改革

健康経営 福利厚生

「人が辞めない会社」をつくるには、なにが必要なのか。
待遇?制度?仕組み?──どれも正解だが、正解はひとつではありません。

今回取材したのは、土木・IT・物流という異なる業界で「働きやすさ」と本気で向き合ってきた3社。
共通していたのは、“現場の声から始まった変化”と、“環境づくりに経営者が向き合っている”という姿勢でした。

それぞれの企業が歩んできた職場づくりのリアルをご紹介します。

“3Kイメージ”を超えて――土木業界の未来を切り拓く、ナガヤス工業の挑戦

代表取締役・大根田長政氏

「良い環境に、良い人が集まる。“働く環境”づくりを取り組んで、それを強く実感しています。」

そう語るのは、ナガヤス工業株式会社(埼玉県草加市)の代表取締役・大根田長政氏。公共インフラを支える土木企業でありながら、同社は10年にわたり、社内の働きやすさを徹底的に見直してきました。

特に注目されるのが、昨年完成した新オフィス。明るく開放的な空間には、社員が自然に集まりたくなる工夫が随所に施されています。さらに、障がい者支援施設のベーカリーからパンを仕入れ、朝食やランチとして提供する「食事支援」も導入。社員の多くが独身で、比較的男性が多い職場において、こうした取り組みは特に好評です。

「土木業界というと、“3K(きつい・汚い・危険)”のイメージがどうしても先行してしまいます。ですが、だからこそ、まずは会社の中から変えていくことが大切だと思ったんです」

そう話す大根田氏は、ワークスアプリケーションズ出身。上場前の成長企業で、大手企業の環境や組織文化を体感してきました。その経験が今の経営に活きています。

「“働く環境が整っている会社には、良い人が集まり、良い仕事が生まれる”。これは大企業時代に学んだことです。だからこそ、私たちのような中小企業が、本気で人材を求めるなら、まずは“環境”に投資すべきなんです」

単なる設備投資や見た目の改善ではなく、根底には「地域に必要とされる企業であり続けたい」という想いがあります。地域社会に密着し、インフラを支える存在であるナガヤス工業は、「土木=ブラック」という業界のイメージを覆すべく、模範となる企業像を描こうとしています。

「地域の未来を支えるインフラ企業として、働く人の未来も支えられる会社でありたい。そんな“新しい当たり前”を、ここから発信していきたいんです」

その言葉通り、ナガヤス工業は今、埼玉から“働き方改革”の新しいロールモデルを提示しています。

【企業情報】
ナガヤス工業株式会社:https://nagayasu.co.jp/

「辞めない会社」のつくり方──イントロダクションが挑む健康経営のリアル

 株式会社イントロダクションでは、創業初期から「健康経営」を軸にした職場づくりを徹底してきました。代表・髙橋勇也氏の原体験には、医療業界で目の当たりにした“体を壊しながら働く人たち”の現実があります。

「IT業界に入ってからも、白内障や腰痛を抱えながら現場に立ち続けるエンジニアを見てきて、これが当たり前でいいのか?という疑問がずっとあったんです」

創業4年目には健康企業宣言「銀の認定」を取得し、翌々年からは全国上位500社「健康経営優良法人 ブライト500」の認定も連続で取得。年2回のストレスチェックや運動促進イベント、デジタル化された福利厚生申請など、制度を“使われる仕組み”にしてきたことが評価されています。

「給与に全振りするのは一見シンプルだけど、効果は限定的。“第3の給与”として、健康や働きやすさへの投資が必要なんです」

実際、中央大学など難関大出身の新卒からも応募があるなど、採用面にも明らかな効果が現れています。社員の平均年齢は30代前半と若く、直近では新卒者の離職率ゼロを継続。数字だけでなく、企業文化そのものが“辞めない空気”を育んでいます。

「締め付ければ一時的に業績は上がる。でもそれでは、誰も残ってくれない」

健康を「福利厚生」ではなく「戦略」としてとらえるイントロダクションの挑戦は、これからの成長企業の在り方に問いを投げかけています。

【企業情報】
株式会社イントロダクション:https://www.introduction.tokyo/

「ドライバー発、会社を変える」──現場から始まるカンサイロジックの働き方改革

黙々と荷物を運ぶ――そんなイメージを裏切るように、カンサイロジックの働き方改革は“現場の声”から動き始めた。

大阪を拠点に家具配送などを手がける株式会社カンサイロジックは、物流業界に根強く残る長時間労働やアナログな業務体制の課題に、社員主体の改善で立ち向かっている。

「働き方は変えられる。現場のドライバーが自分たちで“こうしたい”と動かないと、会社も業界も変わっていかないんです」
そう、取締役の大石氏は語る。2024年問題(※)を受けて残業の見直しを進めた結果、「劇的な変化ではないが、ワークライフバランスは確実に整ってきた」と現場からの声も上がる。

一方で、変化は制度面にも表れている。たとえば、ネットフリックスのアカウント配布、飲み会やフットサルイベントへの会社補助など、ユニークな福利厚生を次々と導入。これらはすべて、社員からの提案をもとにわずか1年前から始まった。

「運んで終わりじゃない。家具配送って、ある意味“接客業”なんです。だからこそ、気持ちよく働ける環境が、仕事の質にも直結する」

現在、社員数はおよそ35名。男女比は男性30名、女性5〜6名。平均年齢は40歳前後で、24時間体制の運用を維持しながらも、長距離配送は撤退し、関西エリアに絞った運営で“ムリなく続けられる働き方”を実現している。

制度だけでも、気合だけでも、変わらない。
だからこそ、現場の声を活かして変えていく――カンサイロジックは、物流業界の働き方に地に足のついた変革を起こしている。


※「2024年問題」…働き方改革関連法により、2024年4月以降、トラックドライバーにも時間外労働の上限規制(年960時間)が適用される問題。

【企業情報】
株式会社カンサイロジック:http://www.kansailogic.jp/company/

まとめ

“働く環境づくり”は、大きな投資や制度変更だけではありません。
社員の声に耳を傾け、小さな改善を積み重ねること。その姿勢こそが、働き続けたくなる会社をつくる礎になります。

今回の3社の事例に共通していたのは、「経営陣が未来を見据えて、働く環境整備に力を入れていくことが、経営判断として重要である」ということです。

企業として、世の中に価値を提供していくためにも、まずは自社をどうより良くしていくかが、この先も問われ続けていくでしょう。

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