2025.3.1
健康経営 女性の身体の悩み女性活躍を進めるための3STEP|データで見る従業員の意識を変えるために重要なこと
目次
女性活躍推進とは?
2016年4月1日政府は女性活躍を実現するために女性活躍推進法を定めました。女性の活躍推進に向けて数値目標や行動計画の策定および公表、女性の職業選択に役立つ公表が国や地方公共団体、企業に義務付けられました。政府は「2030年までに女性役員の比率を30%にする」としていますが、2025年は「男女雇用機会均等法」の制定から40年、「女性活躍推進法」の制定から10年となり、今年はその中間レビューの年とされています。企業が取り組むべき重要な課題について改めて確認する必要があります。
男女雇用機会均等法の制定により働く女性は増加しており、令和5年度版の労働人口の女性が占める割合は45.1%となりました。女性活躍を推進し、女性の管理者の登用を積極的に行うにはさまざまな面で課題があります。まず、社会全体で男女ともに多様な役割を担えるという意識を定着させて行く必要があることや、女性に向けた教育体制や啓発活動なども重要な要素となります。また女性特有の健康課題への企業が行う取り組みは、女性の活躍が期待される社会情勢の中で非常に重要な対策を講じる必要があります。
資料出所:総務省「労働力調査」
「労働力人口の男女別構成比」は厚生労働省雇用環境・均等局作成
女性活躍を進める上での3STEP
STEP1企業全体での意識変化
パーソル総合研究所の調査によると「女性の昇進意欲がない」の割合は42%と高く、この背景として管理職の負荷拡大や、就業意識の変化があり結婚・出産・育児により給与よりも時間重視になっていることもあげられます。働く女性が管理職に対するネガティブなイメージを持つことが多く、管理職を避けたいと思っている方が一定数いるという実情があります。意識を変えていくにはある程度の長期的な面でのアプローチも考えていく必要がありますが、根本的なところで実際は意欲がないのではなく意欲が削がれるような状況になっていることも考えられます。例えば無意識の中で「リーダーは男性向き」というイメージがあったり、育児中の女性は重要なプロジェクトには携わることができないなどの事例もあり、責任のある仕事を任される経験を積むことができないことなどが原因としてあげられます。過去の事例として、医学部入試で女性を不利に扱う不当な差別などが報道されたことがありますが、まさに世の中の風潮を表しているニュースであったと思います。これは医学の分野に関わらず、社会全体で無意識下で女性の社会的な地位を下げてしまうことが起こっています。
企業全体で研修などを実施することや、新人教育や、育成プロジェクトなどの見直しなどの対策を講じる必要があります。
STEP2ライフワークバランスの充実
女性はライフステージの変化によって、取り巻く環境が大きく異なります。結婚、妊娠、子育て、介護など個人の能力だけの問題ではなくなってきます。上述したように、ライフステージの変化により女性は給与よりも時間重視になっている場合が多く、この背景としてまだまだ育児や家事、介護などは女性が行うものという認識が社会全体にあることが言えます。男女ともに育休を取りやすい環境であることや、柔軟な労働環境の実現、企業で育児サポートなどを整えることで女性の働きやすい環境につながっていきます。
STEP3女性の健康課題に対する対策
女性のライフステージに伴う環境の変化以外にも、女性には身体の変化も伴います。妊娠、出産、産後の体調の変化や、生理やPMS、管理者の世代となると更年期の時期を迎えていることが多く、女性特有の健康課題への取り組みはとても重要な項目になります。企業側は女性の身体の変化を知り、対策を講じることで、貴重な人材を守ることにつながっていきます。
女性特有の健康課題に対しての取り組みは企業のみが行うものではなく、男性従業員の理解以外にも女性従業員への啓蒙活動も重要です。実際症状を抱えながらも病院や専門家へ相談している割合は低い実情があることも大きな問題となっています。こうした背景から、女性の半数が健康を理由に昇進を辞退しているというデータ(※)もあり、従業員本人だけでなく、企業としても損失につながっていると考えられます。
フェムテック(Female(女性)とTechnology(技術)を組み合わせた造語)を活用してアプリやデバイスなどを利用し女性の健康をサポートすることなども少しずつ広まってきています。また婦人科医とオンラインで相談ができるなどの体制を整えていることで受診へのハードルが下がることなどもあり、こうした取り組みを実施している企業もあります。
女性特有の健康課題に取り組むことにより、女性活躍をより実現しやすいものとなってきます。
※ルナルナオフィスが2024年に公表した「職場における女性特有の健康課題」
女性の健康課題はどのようなものがあるか?
生理関連
PMSや生理痛などによる不調は20代の女性でも抱える問題であり、同じ女性でも症状が異なる場合がありお互いの症状に共感できず理解が得られない場合もあります。
PMSとは月経前症候群と言われるもので、症状は200種類を超えるとも言われています。これは生理が始まる少し前の期間にあたり、一般的な例でお伝えすると精神的な症状が起こる場合もあれば、腹部違和感や胸の張り、身体のだるさなどが生じます。生理痛に関しても、全く症状がない方もいれば、下腹部痛がひどい、腰痛が辛い、頭痛や身体の倦怠感などを訴える方もいます。このように症状は多岐に渡るということを理解し合うということが重要なことの一つです。このほかに、例えばストレッチやエクササイズなどを通して生理痛やPMSが緩和することが研究でも示されており、イベントなどを通して女性の健康をサポートすることも可能です。
更年期
管理者になる年代の女性は更年期、またはプレ更年期といわれる時期にあたることが多くなります。更年期の時期は個人差はあるものの一般的には45歳~55歳と言われ、プレ更年期は35歳~45歳にあたります。
更年期の時期に何も不調がなく過ごすことのできる人は厚生労働省の調査によると15%程度であり、症状が軽く日常生活を過ごせる方もいる一方で、更年期の症状に悩まされ不調を抱えながら過ごす人も多くいます。更年期の症状も多岐に渡り、個人差が大きいということとその方を取り巻く外的な環境も大きく影響をすると言われています。例えば、大きなプレッシャーを抱えながら仕事をしていて精神的に余裕がないことや、親の介護や育児などで睡眠時間が少なく身体的な労力が大きいことなど、さまざまな要因が組み合わさって更年期の症状が強く生じてしまうと言われています。更年期は女性ホルモンの減少する時期のことを指しますが、症状が出ることにより、その症状が日常生活の困りごととなる場合は更年期障害とされます。
婦人科疾患
上記以外にも女性特有の疾患として多いものが、子宮筋腫や子宮内膜症、乳がんや子宮頸がんなどがあります。
企業側が検診制度を整えることや婦人科オンライン制度を活用することなどにより早期発見につながる場合もありますし、がんサバイバーとなっても柔軟な労働環境を整えることで仕事と両立して生活を送ることができる場合もあります。
課題解決に向けた施策についての事例
従業員の教育/業務体制の対策事例
【ポーラ・オルビスグループ】
2023年の女性管理職比率は47.8%を達成しており、グループ全体で女性活躍を推進して取り組んでいます。子会社であるポーラ化成工業株式会社では、研修制度を取り入れています。研修プログラムの内容として、積極性や傾聴力を磨き現場での活躍に役立つ内容のものであったり、自分自身の強みを知ることでどのように活かし役立てればよいのか把握できるなど、女性社員の業務への前向きな姿勢につながるなどの効果が得られていると報告しています。
【株式会社資生堂】
働く女性が8割を占めており、事業所保育の充実や総合保育サービスの充実化、時短勤務制度の導入などさまざまな角度からの職場環境の改善に取り組んでいます。
【株式会社パソナグループ/株式会社パソナ】
パソナグループは、1976年の創業以来、年齢、性別、障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる機会を提供し、社内制度の充実や働きやすい職場環境づくりを推進しています。社員・エキスパートスタッフはもとより、働くことで自己実現に繋がり、女性がイキイキと活躍し続ける社会を創るための環境づくりに取り組んでいます。
◉ハローベビー制度
男性も育児参加支援を目的として1歳2か月まで育休を取れる制度や家事代行サービスなどの補助等も行っている
◉ライフサポートコース
30分単位・最大2時間30分まで勤務時間を短縮でき、最大で子供が小学3年生まで活用可能な「タイムサポートコース」と、地域を限定して働く「エリアサポートコース」、そして休日等に実施される会議や研修に参加できる環境を整備する為、育児や介護メニューのサポートを受けることができる「ファミリーケアサポートコース」などを設け、環境支援をしている。
◉ワンダーウーマン制度
会社・組織を牽引する女性トップリーダー人財の育成を目指す実践型プログラム。上級管理職としてふさわしいプレゼン力の向上、会社を語る力、外部とのネットワーキングや各種教養講座等を学ぶなどの教育体制も整えています。
その他にも多くの取り組みをしています。
https://www.pasonagroup.co.jp/news/index112.html?itemid=2257&dispmid=798
女性の健康課題への対策事例
【オムロン】
医療費の傾向分析や従業員への健康状態を聞くアンケートを実施しており、その結果、アブセンティーイズムとプレゼンティーイズムの両方で健康課題が見られたことから、ヘルスリテラシー向上による女性の健康づくりに取り組みを実施しています。
取り組み内容としては女性だけでなく男性も対象としたオンラインセミナーの実施をし、更年期をテーマとしたり、産婦人科医との対談セミナーなども企画して行っています。2023 年度は、女性に多いがんについてのセミナーも実施するなどして理解を深める対策を行っています。
まとめ
女性活躍を進めていく上で、さまざまな課題があり、多角的に対策を講じる必要があります。意識を変え、行動変容を起こすことは容易なことではありませんが、企業全体で従業員一人ひとりが意識して着実に取り組むことでそれぞれの課題解決となり男性も女性も働きやすい社会につながっていくものと思います。労働人口が減っている中、女性の社会進出はより重要度の高いものですが、近い未来に女性活躍推進という言葉自体がなくなる社会を目指すことができれば、そのときには社会全体に大きな変化が起こりより働きやすい環境が整えられていると想像できます。女性特有の健康課題に関しては、弊社でも従業員に向けてヘルスリテラシー向上のためのセミナーの開催や、ストレッチやエクササイズ、グループセッションなどの提案も行っていますのでぜひお問合せください。
〈記事執筆〉

熱海 優季
【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了
【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』
【取材掲載】
- ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
- ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修 - ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
- ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿
これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。
新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。
また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。
弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。
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