2025.5.3
健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み女性の活躍が求められる時代だからこそ知っておきたいフェムテックについて
少しずつ「フェムテック」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか?フェムテックに関するイベントも開催されたりと、急激にフェムテックについて知る機会が増えてきていると感じます。フェムテックとは何なのか、またどういった背景でフェムテックが注目されてきているのかをこのコラムではお伝えします。フェムテックについて知ることは女性の活躍を進める上でも外すことのできないテーマです。
目次
フェムテックとは?
Femtech = Female × Technology
Femtech(フェムテック)とはFemal(女性)とTechnology(テクノロジー)を掛け合わせた造語です。女性特有の健康課題をテクノロジーの力で解決するための製品やサービスを指しており、2025年には世界で5兆円規模の市場になると言われています。フェムテックのカテゴリーとして、「生理・PMS」「妊活・不妊治療」「妊娠・出産」「子育て」「プレ更年期・更年期」「婦人科系疾患」などがあり、女性向けケアアイテム、セクシャル・ウェルネスに関わるものなど多岐に渡ります。
これらの悩みや健康課題は、誰かに相談することではないとの思い込みから我慢する女性も多く、症状などにも個人差があることから同性であっても共感が得られないということもありました。すべての女性が健康で、女性特有の健康課題に振り回されることなく日々を送れるよう、解決策を考え製品やサービスを提供するものがフェムテックです。
フェムテックとフェムケアの違い
フェムテックは前述した通り、女性の健康課題に対してテクノロジーの力で解決するための製品・サービスを指しています。
フェムケア
フェムケアとはテクノロジーの力を利用せずに、女性の健康課題やライフスタイルに関する製品やサービスのことを指します。「Feminine(女性の)」と「Care(ケア)」を組み合わせた用語です。フェムケアのイメージとしてフェムゾーン(デリケートゾーン)のケアや月経関連の製品やサービスのことをイメージする方が多いと思いますが、それだけではありません。女性のライフステージ全般をサポートする広範な概念となっています。例えばバストのケアであったり、骨盤底筋のケア、更年期症状緩和に対するケアやアイテム、女性の健康やウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な常態にあること)を向上させるための製品やサービスすべてを指しています。新しい市場となり急速に発展していきています。
フェムケア製品の具体例は以下の通りです。
- ◉保湿クリーム・オイル
- ◉オーガニックコットンナプキンや吸水ショーツ
- ◉マタニティウェア
- ◉女性向けサプリメント
- ◉リラクゼーションアイテムやサービス
- ◉女性専用ジムやサロン
などの商品やサービスなどがあげられます。
フェムテックが注目される理由
1.女性の社会進出により女性特有の健康課題が重要
1986年に制定された男女雇用機会均等法に始まり、2016年には女性活躍推進が制定され、働く女性への社会的な制度の変化により十分に理解されてこなかった女性の身体的・精神的なニーズや課題が少しずつ知られるようになりました。フェムケアの製品やサービスはこれまでにもありましたが、女性の品質やサービスの内容はさらにニーズに沿ったものになっていることや、さらに女性の健康課題などに対してテクノロジーと組み合わせたフェムテックの分野の拡大は、問題解決の糸口となることが考えられ、さらに急速に拡大しているのです。冒頭にも述べましたが2025年では世界で5兆円規模の市場になるとみられています。このフェムケアやフェムテックは単なるトレンドではなく、女性の健康を支える重要な概念として社会に浸透してきています。例えば女性特有の症状である月経による経済損失や更年期による経済損失なども経済産業省が行った調査により年間の損失額を算出しています。
(生理による経済損失や更年期による経済損失のコラム)
2.SDGs第5目標「ジェンダー平等を実現しよう」
この社会の流れの背景として、国連が提唱する持続可能な開発目標であるSDGsの第5目標「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられています。このジェンダー平等の働きかけはこの市場が拡大している大きな要素の一つです。これにより国際的な取り組みが進められています。しかし残念ながら、日本のジェンダーギャップ指数は146ヵ国中125位と低く、その内訳を見ると、経済・教育・医療・政治の4分野の中で経済と政治のスコアが著しく低くなっています。経済と政治で女性の活躍を進める上で、女性の健康課題は社会の課題と認識されるようになってきたこともあり、実際に内閣府が2021年に策定した「女性活躍・男女共同参画の重点方針」には「フェムテック製品・サービスの利活用を促す仕組み作りを支援する」と明記されています。
3.SNSの普及
SNSの普及により女性の健康課題が顕在化されてきたことやウェルビーイングなどに関する情報が簡単に得られるようになってきたことも注目されるきっかけとなりました。これまで、女性特有の話題は避けられる傾向にあり、これまでは多くの女性が自身の健康課題について相談しあうような環境は少なく一人で悩んでいました。身近に相談し合える環境がなかったり、同じ女性同士でも悩んでいることが異なり共感し合えない場合でも、SNS上では情報を得られるようになり、その結果本当に必要とされる製品やサービスなどの開発や提供が進められています。
フェムテック/フェムケアにはどんな製品やサービスがあるのか?
生理関連
◉生理用品や布ナプキン
◉吸水ショーツ
◉月経カップ
◉経血用洗剤
◉月経管理アプリ、サービス
◉PMS緩和
更年期
◉更年期ケアアプリ、サービス
◉更年期ケア用品
妊活
◉妊活サポートアプリ、サービス
◉不妊治療
◉卵子凍結サービス
◉妊よう性検査
◉婦人科検索アプリ、サービス
妊娠・出産
◉妊娠期ケア
◉つわり
◉産褥期、授乳期ケア
◉搾乳機
その他
◉メンタルケア
◉デリケートゾーンのケア
◉骨盤底筋トレーニンググッズ
◉サプリメント
◉婦人科系疾患など
◉各種検査サービス
◉健康相談アプリ、サービス
フェムテックで解決できる課題
生理関連
◉PMSで気分の浮き沈みが激しい
◉生理周期・排卵日を管理したい
◉生理中に生理用品を交換するタイミングがない
妊娠期/妊活
◉むくみや冷えを改善したい
◉妊娠期の尿漏れ、身体の不調を改善したい
◉メンタルの状況を可視化したい
◉排卵日の予測をしたい
産後
◉産後の不安を相談したい
◉膣/骨盤底筋の機能を高めたい
◉尿漏れを解消したい
フェムテックを支援する制度
経済産業省は令和3年度より「フェムテックなどのサポートサービス実証事業費補助金」を立ち上げ、このようなアプローチを通じて女性の職業継続を支援し、人材の多様性を高めることで、中長期的な企業価値の向上を図っています。
令和7年度の補助事業者の公募開始および説明会を開始しています。この補助金を活用して実証事業を実施するフェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体などの連携体による補助事業者の公募を2025年4月14(月)より開始しています。
[概要]
フェムテックやフェムケアの製品やサービスを活用し、働く女性の能力が最大限発揮できるようにサポートする事業に対して、その経費の一部を補助することにより、よりサポートサービスの普及に係わる課題などの解決を促しています。具体的には、フェムテック企業、導入企業、医療機関、自治体の間接補助事業者が、個別または連携して実施する事業を指します。女性の妊娠や出産などのライフイベントと仕事との両立や更年期や生理関連にまつわる精神的・身体的不調などの健康課題の解決などを指します。これらの取り組みにより、人材の多様性は高まり、中長期的に企業価値が向上していくことを目指しています。
詳細な事業対象者は公募要領をご確認ください。
[公募期間]
・2025年4月14(月)~6月2日(月)
企業の施策事例
株式会社エムティーアイ
「オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬の支援プログラム」
エムティーアイは女性の健康情報サイト「ルナルナ」や日々の健康データを記録・管理できる「CARADA」などヘルスケアサービスを展開しています。
新たな福利厚生制度として、生理痛などの月経前後に起こる何らかの不調に悩まされている女性社員が約8割にのぼることが判明したため「オンライン診療を活用した婦人科受診と低用量ピル服薬の支援プログラム」の導入に至っています。
これは、診療から薬の処方までを同社サービスの「ルナルナ」とグループ会社が提供する「ルナルナ オンライン診療」にて行い、生理痛やPMSなどの症状に対して、気軽に婦人科に相談できる環境を整備し、通院にかかる負担の軽減を図るものです。実際利用している従業員の声としては、受診するにあたって仕事を休む必要がなくなったことや、勤務時間内でも受診ができることなど利便性も高く、薬も自宅に郵送で届くようになっています。
ロート製薬株式会社
「更年期症状に備えるエクオール自己検査キットを提供」
会社員の約6割を女性が占めるロート製薬は、社員の健康づくりに力を入れてきています。女性の健康課題に対しても、さまざまな取り組みを行っています。
中でも更年期の問題に対してはエクオール検査を提供しています。エクオールとは女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンと似た働きをする物質で、これが体内で作れる体質か否かを検査することができます。郵送で簡単に行える自己検査キットを提供しており、その結果に応じて必要な人にはサプリメントの紹介などを行っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?これからますます市場の規模が大きくなり、さまざまな製品やサービスが増えてくることが予測されます。女性の活躍を進める上でテクノロジーをうまく活用しながら、女性がいきいきと働きやすく日々を送れるように支援することは中長期的に企業価値を高めていくことにつながります。弊社でも積極的に女性向けの健康支援を行っています。ウェビナー開催や、ワークショップなど、大変好評いただいています。お気軽にお問い合わせください。
〈記事執筆〉

熱海 優季
【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了
【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』
【取材掲載】
- ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
- ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修 - ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
- ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿
これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。
新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。
また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。
弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。
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