2025.7.9

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

【女性活躍推進】女性の活躍が利益に直結するのか?データをもとに解説

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

女性活躍推進法が制定されて10年目の節目となり、多くの企業の業績データが集められるようになりました。女性の活躍推進が企業価値を高めると言われていますが、本当に女性管理職の割合が高い企業ほど業績がよいのか?という問いに対して、客観的データをもとに解説していきます。企業の事例もいくつかご紹介し、取り入れていきやすいものから検討してみましょう。

女性の活躍がもたらす経済的メリット

【多様性向上と企業の競争力に貢献】

女性が積極的に社会進出することで、企業や組織における多様性が促進されます。多様な視点や価値観が組織に取り入れやすくなります。例えば、これまでの同一性の高い組織の文化や慣例などは経営戦略を行っていく上で、一新したアイデアがうまれにくいとされています。一方で多様性を取り入れることでさまざまな知識や考え方などを取り入れることにつながり、多角的な視点から戦略を考えて行ける機会が増えていくとされています。ただ、デメリットの側面もあることがわかっています。例えば早稲田大学MBA論文では価値観や性格の違いによる多様性においてチーム内の摩擦が引き起こしやすいということもあり、多様な人材を集めるだけでは逆効果になる可能性がありマネジメント力が重要であるとしています。
早稲田大学MBA論文:企業内ダイバーシティ推進における正と負の効果に関する研究

【イノベーションと創造性の促進】

多様な視点が新しい発想につながる
女性ならではの視点や経験は、男性とはまた異なり、新しい切り口をもたらすことにつながります。これまで製品やテクノロジーの開発は男性の研究者や痔術者を中心として行われていることが多いため、無意識の性差が日常的な製品にも反映されています。性差分析を取り込んで行う技術や研究を進める動きは世界的にも進みつつあり、女性消費者に向けたイノベーションが生まれやすくなります。実際に研究データもあり、男女混合のチームの方が、特許の経済的価値が高いという結果が出ています。日本政策投資銀行と三菱総合研究所が行った分析によると男女混合の発明チームが生み出した特許は男性のみのチームに比べて経済的価値が平均で約1.44倍高いという結果が出ており、男女さまざまな視点が入ることが新しい発想につながりイノベーションが生まれやすくなるのです。
参考資料:女性の活躍は企業パフォーマンスを向上させる

チームの創造性が高まる
多様なメンバーが集まることで、より新しく価値のあるアイデアがうまれやすくなると言われていますが、例えばマーケティング出身の女性社員とエンジニア出身の男性社員が同じ課題に取り組むと、それぞれの視点から全く異なるアプローチが出てくるため。これば知の多様性と言われておりイノベーションの源泉になるとされています。得意な分野をうまく掛け合わせることができることができるということです。すでに考え方や経験してきたものが異なるため、あらかじめさまざまな意見が飛び交うことを前提としていれば、自由度の高い発言ができる、ということにもつながります。これは心理的安全性をさします。
ただ冒頭でお伝えしたように、マネジメント力がカギとなりさまざまな意見を出したことで方向性やアイデアをまとめていくことが難しい場合もあります。

【経営層における女性の影響】

女性登用が女性活躍の推進力になる
経営のトップに女性が就任している企業では女性管理職比率の向上やキャリア支援制度の整備が進んでいる傾向があるという調査結果があります。例えば「経営層における女性の登用が組織の女性活躍推進に与える影響について」という仙台青葉学院短期大学の研究論文によると、女性経営者がいる企業では①女性採用比率の数値目標を設定している割合が高いこと②キャリア研修や女性向けの研修実施率が高いこと③女性管理者比率も高い傾向にあるなどのデータが出ています。統計的には有意差なは一部にとどまるとされているためさらなる検証が必要としてはいますが、この研究は「女性が経営層にいること」が象徴的な意味合いだけでなく、実際の制度や文化の変革にもつながる可能性があることを示唆しています。

データでみる女性の活躍と企業利益

【経営層の多様性が企業のパフォーマンスに与えること】

マッキンゼーの国際調査「Diversity Wins: How Inclusion Matters(2020)
経営層のジェンダー多様性が高い企業はそうでない企業に比べて「財務パフォーマンスが25%以上高い」傾向があると報告されています。
調査のポイントは世界15か国、1000社以上の企業を対象に分析し、経営層のジェンダー多様性が上位25%の企業と下位25%の企業を比較しています。

日本政策投資銀行の分析
前述した通り、男女混合の発明チームの特許の経済的価値が平均1.44倍高いという結果がおり、これは経営層に限らず、組織全体の多様性が価値創造に寄与していることを示唆しています。

石川県の事例特集
女性経営者が「社員一人ひとりのキャリアを吸い上げる制度改革」を行った結果、管理職候補の女性比率が大幅に上昇したという報告もあります。
石川県の事例特集

内閣府男女共同参画局「ジェンダー投資に関する調査研究報告書
女性の活躍が進む企業の方がROE(株主資本利益率)、ROA(総資産経常利益率)、株式パフォーマンス、TFP(全要素生産性)など、それぞれの指標において、女性の活躍が進んでいない企業よりも良い結果が出ているという調査結果が示されています。
一方で女性の管理者登用に対し、反論も多くあるのも事実ですが、戦略的に女性の登用を進めることは企業経営にとってもメリットが大きいとされています。これまで、数字合わせのための女性登用になっていた企業もありましたが、近年ではその傾向は減少しているといわれています。例えば、女性管理職比率などが低水準にある企業は若年層や優秀な人材から就職先として選ばれにくくなっていることに加えて、すでに働いている女性の人材も流出しかねない状況になりつつあるという状況です。

女性が活躍するための環境整備

【最新の法改正(20205年6月成立)】女性活躍・男女共同参画の重点方針2025

女性活躍推進法の延長と強化

  • ◉企業における女性管理者比率の公表が常用労働者101人以上の企業に義務化
  • ◉男女間賃金差異の公表義務も300人以下の企業に拡大
  • ◉女性の健康課題(生理・更年期・不妊治療)への配慮を法律の基本原則に明記する

【重点方針2025(内閣府)】

  • ◉女性の所得向上・経済的自立支援
  • ◉仕事と健康課題の両立支援
  • ◉アンコンシャスバイアスの解消
  • ◉女性起業家支援・ロールモデル創出
  • ◉地方でも女性が活躍できるよう、地域格差の是正にも注力

【女性活躍推進のステージ】

少しずつ「働き方改革」や「ダイバーシティ推進」の流れによって女性社員が中長期に渡って働き続けられる環境や管理職や役員登用などが整ってきています。

ステージ1:就業継続の壁を越える段階
◉柔軟な働き方の制度導入や労働環境がまだ整備されていない

ステージ2:両立支援が整い、働き続けられる環境
◉労働環境の整備は整い働き続ける環境ではあるが女性管理職登用が進んでいない

ステージ3:キャリア形成と両立が可能な段階
◉女性の管理職登用の段階にいるが、一定の役職以上は増やせていない

ステージ4:経営層、意思決定層への登用が進む段階
◉男女問わず、経営人材育成に注力し、人材プールを増やす始めている

このようなステージを踏まえて、どのステージにいるかによって取るべき対策や制度の導入などが異なってきます。

ステージ1にいる場合は、制度を整え働きやすい環境への取り組みを行う必要がありますし、ステージ2の場合はキャリア形成などへの対策が必要です。ステージ2~3の段階移行に進むことが難しく、制度だけでは解決できない「時間」と「壁」があります。
キャリア形成には経験の蓄積が必要ですし、ロールモデルの不足、企業文化や上司の意識が追いついていないことなどがあげられます。

企業が取り組むべき施策

【ロールモデルの可視化】

女性社員が「自分もあの人のようになれるかも」と思えるようにする
◉社内報や動画などで女性リーダーの声を届ける
◉イメージを明確に抱けるようなインタビュー記事などの紹介
◉社内イベントなどでロールモデルの座談会などを開催。

期待できる効果
◉キャリアのイメージが具体化し、昇進意欲が高まる
◉男性社員にも「女性リーダー像」が浸透し、組織文化の変化につながる

【キャリア支援の個別化】

女性のキャリアはライフイベントと密接に関わる
◉キャリア面談を定期的に実施し、希望や制約をヒアリングする
◉「一時的に責任を軽く→のちに再チャレンジ」できるキャリアの波形設計
◉社内公募制度やジョブローテーションで多様な経験を積める仕組み作り

期待できる効果
◉「キャリアを諦めずに続けられる」という安心感と挑戦意欲がうまれる

【上司向けの意識改革研修:アンコンシャスバイアスを減らす】

無意識の偏見を減らす。当事者側もこうした偏見も持っていることを理解する。
◉ケーススタディやロールプレイでバイアスに気づく体験を提供
◉「公平な評価とは何か」を問い直すワークショップ
◉管理職同士の対話型セッションで気づきを共有

期待できる効果
◉昇進や業務アサインの判断がより客観的かつ公正に。
◉女性部下のモチベーションと信頼感が向上

【メンター制度の導入】

経験者が伴走することで安心して挑戦できる環境をつくる
◉年齢や職種の近い先輩社員がメンティ(後輩)を定期的にサポート
◉メンターは直属の上司などではなく、利害関係のない立ち場がよい

期待できる効果
◉メンティの離職率が低下し、昇進意欲が向上
◉メンター自身も「育ている経験」を通じてリーダーシップが育つ。

【企業の取り組み事例】

サイバーエージェント
【女性の経営人材育成に注力】
◉経営幹部候補の女性社員に対して、経営視点の研修やOJTを実施
◉温度調整可能な休憩室や卵子凍結費用の補助など、ライフステージに寄り添う制度を整備

中小企業の支援(東京しごと財団)
◉女性管理職の登用や非正規社員の処遇改善を行った企業に奨励金を支給
◉「えるぼし認定」取得や、社内研修の実施も支援対象

まとめ

まだ女性の活躍支援に関して、「女性優遇、男性差別になっている」「女性活躍の取り組みが一人歩きしている」などとどちらかというと批判的な声が多いですが、様々な取り組みがされ少しずつ変化していきているのも事実です。実際に、女性が活躍する企業の方が業績がよいという調査結果が複数でていることや、女性が活躍できない企業は投資家からの評価が得られなくなってきていること、結果的に人材確保が難しくなるというリスクも出てきています。この機会にぜひ自身の企業がどのステージにいて、どのような対策が必要なのかを今一度見直すきっかけにしてみてくださいね。
従業員の健康課題に関する対策は弊社サービスの中で対応できるものもありますのでぜひお気軽にお問い合わせください。女性の健康支援に関するセミナーなども企業様向けに開催しております。

〈記事執筆〉

熱海 優季

【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了

【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』

【取材掲載】

  • ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
  • ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
    「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修
  • ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
  • ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿

これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。

新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。

また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。

弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。

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