2026.2.13

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

【女性活躍推進】2026年の健康経営で「女性のヘルスケア」が追加。理学療法士としての視点で解説

健康経営 女性活躍推進 女性の身体の悩み

2026年の健康経営優良法人認定において、「女性の健康・ヘルスケア」に関する取り組みが評価項目として明確に盛り込まれました。この話題はすでに1度は目にしたり、耳にした方も多いかもしれません。
一方で人事実務者や経営層の方の率直な意見として「どのように取り組んでいけばよいかわからない」「課題の抽出の仕方がわからない」「正解のある話ではないから難しい」など思われたかもしれません。ただ一方で、今回の制度変更で、これまで向き合いにくかった課題に対して、企業が改めて考えるきっかけになったと感じる方も多いのではないでしょうか。今回はこの制度の整理をしながら理学療法士としての視点で解説します。

なぜ、今「女性のヘルスケア」なのか?

これまで企業が取り組んできた健康経営は、主にメンタルヘルス対策や長時間労働の是正、生活習慣病対策が中心でした。いずれも重要であり、人事として多くの時間と労力を注いできた分野です。
内閣府の男女共同参画白書によると、日本の女性就業率は上昇を続けており、とくに30〜40代女性の就業継続が当たり前になりつつあります。一方で、同白書や厚生労働省の調査では、月経関連症状や更年期症状が仕事に影響した経験を持つ女性は一定数存在することが示されています。
女性は月経やPMSによる体調不良、妊娠・出産後の回復期、更年期に差しかかる時期の心身の変化など、これらは休職や診断名がつく前段階で起こり、業務パフォーマンスに影響を与えることも少なくありません。いわゆる「プレゼンティーイズム」と呼ばれる、欠勤はしていないけど、思うようなパフォーマンスができていない状態を指します。
しかし、現実には「体質だから仕方ない」「自己管理の問題」「周囲に迷惑をかけられない」といった形で、個人の努力に委ねられてきました。

今回の評価項目追加は、こうした「可視化されにくい不調」も含めて企業も向き合う必要性」が高まっていることがあると考えられます。女性の健康課題はもはや個人の問題だけではなく、人的資本経営の一部として扱われ始めています。

人事の女性ほど難しいテーマ?

女性のヘルスケアは人事担当者や経営層の中でも、特に女性ほど扱いづらさを感じやすいテーマかもしれません。厚生労働省の働き方に関する調査では、人事・労務担当者が「個別性が高く、対応基準を設けにくい」と感じるテーマで健康課題が上位に挙げられています。

40~50代は、自身の体調変化を感じ始める人も多い一方で、人事としては公平性や客観性が求められます。そのため、

  • ◉どこまでが業務として扱う範囲なのか
  • ◉個別配慮と特別扱いの線引き
  • ◉管理職↔人事との連携や説明

こうした点に悩みやすい構造があると考えられます。

この難しさは個人の判断力の問題ではなく、これまで多くの企業で女性特有の健康課題が制度設計の前提に含まれてこなかったことが背景にあります。
評価項目に明記された意義は、人事や経営層にあたる人たちが「組織のテーマとして扱うもの」として位置づけられた点が大きいと思います。

参考資料:職場で取り組む働く女性の健康支援(厚生労働省)

実際に働いている女性従業員は何を求めているか

では、実際に働く女性は職場に対して何を求めているのでしょうか?
経済産業省や民間調査会社による女性の健康と就労に関する調査によると、多くの女性が挙げているのは“新しい制度や給付よりも「理解される環境」”としています。
具体的には、

  • ◉体調不良を感じても職場に伝えられていない
  • ◉「甘えていると思われそう」「評価に影響しそう」と感じている

といった理由から、不調を抱え込んでいる女性が一定数存在することが報告されています。

また同様の調査では、
「診断名がなくでも相談できること」
「一時的にパフォーマンスが落ちても否定されないこと」が就業継続の安心化につながると回答した女性も多く見られます。
これらの結果から、女性従業員が求めているのは、万能な制度や特別な配慮というよりも、今の状態を前提に話をしてもいいという心理的安全性があることが伺えます。

人事/経営層が押さえておきたいポイント

企業が女性のヘルスケアに取り組む際に重要なのは以下の視点です。

①不調を自己責任に委ねすぎない
例えば厚生労働省が示す「女性の健康づくり」の取り組みでは、女性特有の健康課題に対する戦略的な支援の必要性が明記されており、単なる自己管理では対応しきれない健康ニーズがあるとこが示されています。
さらに経済産業省の調査では、月経前症候群や更年期症状が社会生活や仕事に影響を与えることが明らかになっており、こういった負担が労働損失として年間約3.4兆円規模に上る可能性も指摘されています。
これらのことを踏まえて、単に「個人の自己責任」という前提で健康管理を進めるのではなく、組織としてどう支えられるかの仕組み作りが大事です

②管理職任せにしない
対応が属人的になると、職場間での支援のばらつきが生まれるため、共通認識の整備が重要です。実際、労働団体系の報告では、管理職に対して行ったアンケートで約56%の管理職が「女性の健康課題への対応に困った経験がある」と回答しており、月経関連症状や更年期の対応についても課題としてあがっています。
これは、性別や世代によって生理的な変化があるという理解が職場全体で共有されていないことに起因している面もあります。

  • ◉明確な共通認識
  • ◉会社としての対応基準
  • ◉社内で使える支援メニュー

を整備することがばらつきを防ぐ大きな1歩になります。

③外部リソースを活用する
医療未満の不調、例えば月経不順・PMS・更年期症状への対応は一般的な産業保険体制ではフォローしきれないことも多い領域です。
なぜなら、これらの不調の多くは「疾患」ではなく、身体機能や回復力の変化として現れることが多いからです。

理学療法士の立場から働く従業員のみなさんをみていると

  • ◉痛みとして訴えられる前の違和感
  • ◉疲労が抜けにくい、身体が重いという感覚
  • ◉姿勢や動作の変化、呼吸の浅さ
  • ◉睡眠の質の低下(仕事に集中できない)

といった、数値化や診断が難しい変化を抱えたまま働き続けている方も一定数いる印象です。
こうした状態は、産業医や医療機関で「異常なし」と診断されることも多く、結果として本人が我慢し続ける構図になりやすいのが実情です。

公的な企業ヒアリング調査の結果からは、企業における女性の健康管理施策には

  • ◉生理休暇制度
  • ◉健康セミナーやeラーニング
  • ◉管理者向けの研修

などが散見される一方で、運用面や実効性には差があることが示されています。

経済産業省が出している「健康経営における女性の健康課題への取り組み事例集」でも外部専門家との連携や産業医・産婦人科医の活用が推奨されている例が複数取り上げられています。
健康経営における女性の健康課題における取り組み事例集

例えば理学療法士が関わる意義としては治療を行うことということではなく

  • ◉不調が深刻化する前の段階で身体の状態を整理する
  • ◉「何が起きているのか」を本人が理解できる形にする
  • ◉無理のない身体の使い方や回復の視点をお伝えする

外部リソースを活用することは、単に専門家に任せることではありませんが、人事や管理者がすべてを判断しなくてもよい「中間の受け皿」を持つことで、企業全体として無理を長期化させない構造をつくることにつながります。

④完璧な制度設計を目指さない

女性のヘルスケア施策は「1回つくれば終わり」ではなく、継続的に見直しながら育てていくテーマです。例えば厚生労働省の資料でも、企業側の健康支援は段階的・継続的な教育や情報提供がポイントだとされています。
健康課題の種類自体が多岐にわたるため、段階的に内容を拡充していくことが現実的です。

まずは小さく始めて

  • ◉運用しながら改善点を見つける
  • ◉従業員の声を拾う
  • ◉外部の知見を都度取り入れる

というサイクルをつくることが大切です。

多くの先行企業でも、段階的に施策を見直しながら運用しているケースが一般的です。

まとめ

女性のヘルスケアに向き合うことは、個別対応を増やすことだけではないと思います。内閣府や経産省の資料からも示されているように、無理を前提としない職場設計は、結果として組織全体の持続性を高めると考えられています。人事や経営層が考えることは、不調をすべて解決することではなく、不調があっても働き続けられる仕組みを整えることであると思います。とはいえ、女性の体調や不調は個人差が大きいのも事実です。人事や管理職がすべてを判断しなくてもよい状態をどう設計しておくか、だと感じています。専門職が企業の現場に入ることで、従業員が自分の状態を整理したり、早い段階で不調に気づく機会が生まれることもあります。こうした関わり方も含めて「どのような形であれば、自社にとって無理なく続けられるのか」を考えるヒントとして、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

〈記事執筆〉

熱海 優季

【保有資格・修了】
理学療法士免許
アメリカ理学療法士協会認定「骨盤底の理学療法Level1」修了

【執筆】
『女神筋(骨盤底筋)が目覚める! 「女性のヨガと子宮の整体法で女性の不調と悩みを解決! 」』
『女性の不調と悩みを解決!! 女性のヨガと子宮の整体法』

【取材掲載】

  • ◉もっと健康に、もっと美しく 日経ヘルス2015年1月号
  • ◉セラピスト 2014年12月号 DEC. vol.76 子宮の機能を高める
    「整体」+「セルフケア」 骨盤底筋群と骨盤の総合ケアで婦人科系トラブルを一掃! 監修
  • ◉セラピスト2013年12月号 DEC vol.70 「セラピー」+「国家資格」で夢・想いを叶える
  • ◉アイセイ薬局2015年冬号 ヨガで快尿

これまで延べ20,000人のリハビリや運動指導に携わり、ウィメンズヘルスの分野では専門家や一般向けの講演件数100件以上、上場企業などでのセミナーも開催。

新人時代に出会った患者様の『生理が始まってから1度も自分の身体が健康だと思えた日がない』という言葉に衝撃を受け、ウィメンズヘルスの領域を専門に学び始める。現在は産前産後の女性や生理関連の不調、更年期など女性特有のライフステージの変化に伴う身体の不調に対して運動指導や施術などを行っている。

また女性向けの健康経営にも携わり、コンテンツの作成や、ヘルスリテラシー向上のために企業で働く従業員向けのウェビナーやイベントなども実施。自身も3児の母。

弊社では、国家資格を保有している理学療法士や作業療法士が運動指導やヘルスリテラシー向上のための研修、オフィスに出張してストレッチや施術を行うサービスなどを行っております。数名の企業から大企業まで、業種問わず、良い評価をいただいております。

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