2025.6.8
【企業の生産性低下を防ぐ】従業員うつ病のきっかけとなる「ライフイベント」3つ
2024年にパーソル総合研究所が実施した「若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査」によると、過去3年以内に治療なしでは日常生活が困難なほどのメンタルヘルス不調を経験した正規雇用者は、14.6%いると報告されています。
過去3年以内のメンタルヘルス不調経験率
パーソル総合研究所(2024),若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査より引用
正規雇用者の6-7人に1人の割合でメンタルヘルス不調を経験していることになり、すべての労働者が、メンタルヘルス不調になるリスクを持っているということがわかると思います。
企業にとって、メンタルヘルス不調の従業員がいることは、「企業の生産性低下」「業績の悪化」に直結します。
そのため、企業としてはメンタルヘルス不調の従業員を出さないための取り組みをしていく必要があります。
メンタルヘルス不調による精神疾患でよく挙げられるのは、「うつ病」ですが、「うつ病」と聞くと、あまり罹患することが少ないように思う方が多いかもしれません。
ですが、実は誰もが「うつ病」になるリスクを持っており、そのリスクを高めてしまう「ライフイベント」を、誰もが経験しているのです。本記事は、人事担当や経営者の方々が、「うつ病になりやすい人のライフイベント」を理解し、企業において「うつ病」や「メンタルヘルス不調」の従業員を無くすきっかけとなりましたら幸いです。
目次
うつ病とはなにか
まずはじめに「うつ病」という病名がありますが、病名の分類が非常に複雑で、類似する疾患が多くあります。
国際疾病分類(ICD-10)によると、うつ病は、大分類では「気分障害」に分けられるとしています。
「気分障害」とは、気分が正常の範囲を超えて、「高揚」したり「落ち込んだり」することが、一定の期間続く精神疾患です。
「気分障害」の中には「うつ病」の他に、「双極性障害」という、うつ状態(気分が落ち込んだ状態)と躁状態(気分が高揚した状態)を繰り返す疾患もあり、症状が似ているため、区別が難しい疾患となっています。
2つの気分障害
[うつ病]
(生涯有病率 13.1-17.1%)
1日中気分が落ち込んでいたり、何も楽しめない状態が続いている状態。
[双極性障害]
(生涯有病率 0.24-1.6%)
一般的な気分の波とは大きく異なり、非常に極端に「うつ状態」と「躁状態」を繰り返す。
うつ病は、治ったらそれで終わりではなく、再発率は60%もあると言われています。
企業においてうつ病・メンタルヘルス不調の従業員がまだいない状態であれば、従業員のうつ病リスクを把握することが重要です。
うつ病になる原因は様々
うつ病をはじめとする気分障害では、1つの因子ではなく、様々な要因が絡み合うことで発症します。
その因子の有無を把握しておくことが、うつ病の、予防・早期発見に繋がります。
遺伝
ルクセンブルガー(1932)によると、気分障害の疾患を持つ者の子どもに関して、24.4%の割合で疾患の遺伝が見られるとしています。
性格
うつ病の発症には、もともと持っている性格が関与します。
うつ病の性格特徴について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ライフイベント
実は誰もが経験している、家庭・職場・学校の環境の変化がうつ病の発病に関係すると言われています。
思いもよらない小さなライフイベント・環境変化でも、気付いたときにはうつ病に発展する可能性があります。
次の項目で詳しく解説します。
うつ病になりやすいライフイベント3つ
うつ病の因子の中でも今回は、「ライフイベント」に焦点を当て、大きく3つの性格に分けて解説します。
転居
転居は、心機一転、気持ち新たに新生活を始められるので、うつ病とは無関係のように思うかもしれません。
しかし、前向きな気持ちの反面、環境の変化に対応出来ずにうつ病を発症してしまうリスクがあります。
今までの環境と異なる場所で、家事・人間関係・子育てをすることは大きな負担となります。
「転居をした従業員」がいる場合は、新生活の状況を聞きながらも、環境の変化に不安を感じていないか注意深く観察することが重要です。
特に、新入社員は「住居」と「職場」において、新しい環境の連続のため、より注意してフォローすることが、早期離職を防ぎます。
結婚(子女の結婚含む)
結婚前や、新婚で間もない時期は、幸せで一杯の気分のはずです。
職場において、従業員の結婚報告を受けると、周りの従業員も温かい気持ちになることでしょう。
しかし、結婚前後において、幸せな気持ちのはずが、何故か憂鬱な気分を感じたことがある方もいるかもしれません。
結婚前後における憂うつ気分は、「マリッジブルー」と言われます。
結婚するまでの準備の忙しさや、結婚した後の生活に不安を感じてしまうために起こる症状です。
男女別の問題で考えると、
[女性の場合]
◉姓が変わることへの不安
◉様々な手続きにより、自分だけ忙しいと感じてしまう
[男性の場合]
◉家庭を支えていかなくてはならないという、経済的な不安
◉家庭重視による、仕事や出世への不安
このように、男女でそれぞれで「うつ病」になる悩みの種は違います。
また、親世代の従業員にとっては、「子女の結婚(子供)の結婚」も「うつ病」のリスクがあります。
今まで同居していた子女が巣立つことは、嬉しくもあり悲しくもあります。
このような誰もが「幸せ」と感じるイベントも、時には「うつ病」の発症と大いに関係します。
出産
出産は、心身ともに大きな負担がかかります。
産後2週間までは、「イライラする」「落ち込む」「涙が止まらなくなる」等の症状が起きやすく、これは「マタニティブルー」とも呼ばれます。
これは、出産という非常に大きなイベントを終えた後の気持ちの波や、女性ホルモンの低下などに起因するもので、誰にでも起こりうるものです。
ただ、2週間を超えて、憂うつな気分が続いている場合、「産後うつ」に移行する可能性が高く、注意が必要です。
産後は、「慣れない子育て」や「睡眠不足」で身体に大きな負担がかかります。
産休明けの女性社員の様子は注意深く観察し、不安な様子はないか注意深く観察することが重要です。
まとめ
企業にダメージを与える前に「うつ病」「メンタルヘルス不調」の早期発見が必要
うつ病は再発率も高く、なってしまうと復帰が難しい疾患です。
休職者や退職者を出してしまったときには、既に企業へのダメージは大きなものとなっております。
そのため未然の予防が非常に重要となります。
人事・経営者の皆様におかれましては、うつ病のリスクがある「ライフイベント」を知ることで、メンタルヘルスの不調に関わる予兆を早期に発見できると思います。
メンタルヘルス不調の予防には、軽い運動やストレッチが有効であることもわかっています。
弊社では、企業内に出張し、社員様の身体状況をチェックした上でストレッチを提供し、身体的不調を改善するサービスを提供させて頂いております。
また、企業様向けにヘルスリテラシーに関するセミナーやイベント、グループセッションなどの提案も行っていますのでぜひお気軽にお問い合わせください。
参考文献
大熊輝雄(2013)現代臨床精神医学,金原出版株式会社
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