2026.2.13
健康 セルフケア【理学療法士が解説】健康診断では見えない「職場高血圧」と企業が取るべき対策
「うちの社員は健康診断では高血圧ではなかったから大丈夫」
「けど最近、職場では頭痛、集中力低下を訴える社員が多い」
実は、血圧は測定する”場所”や”状況”によって大きく変動します。
「健康診断」では問題がなくても、「高血圧」状態に陥っているケースは少なくありません。
こういった、職場でのみ高血圧になることを「職場高血圧」といいます。その「職場高血圧」には要因があり、可能な限り防ぐ対策もあります。
- 本記事では、理学療法士の立場から、
- ◉「職場高血圧」と「職場でのみ血圧が上がる理由」
- ◉企業として取るべき「職場高血圧」の対策
- ◉職場高血圧」の対策に運動が有効な理由
- について解説します。
目次
① 職場高血圧とは
健康診断では把握できない「場面高血圧」
「職場高血圧」は「場面高血圧」の一種であり、「場面高血圧」とは家庭や健康診断では正常範囲であるにも関わらず、特定の”場面”において血圧が上昇してしまう状態を指します。

職場高血圧以外にも、
- ◉白衣高血圧 (普段は正常血圧だが、医療機関・医師の前では高血圧になってしまう)
- ◉仮面高血圧 (白衣高血圧の逆で、普段は高血圧だが、医師の前では正常血圧となってしまう)
といった、場面の変化によって引き起こされる高血圧は様々あります。
「職場高血圧」の問題点として、
- ◉健康診断では正常血圧の場合、本人が「高血圧」を自覚しにくい
- ◉企業側も従業員の「高血圧」を把握できない
という状況に陥りやすく、「高血圧が放置される」ことに繋がってしまいます。

また、宇賀神ら(2005)によると、白衣高血圧患者のうち46.9%は家庭でも高血圧となる状態へ移行したと言われており、一時的な高血圧でも放置をすることで、常態的な「高血圧」になってしまうリスクがあります。1)
② なぜ職場で血圧が上がるのか
「職場高血圧」の原因として、ストレスによるものはもちろん、職場環境も影響してきます。
原因として考えられる具体例を挙げていきます。
要因① 職務上のストレス
仕事のストレス、不安、緊張状態が続くと、交感神経が常に優位となります。
交感神経優位な状態が続くことにより、
- ◉心拍数の増加
- ◉血管の収縮
を引き起こします。
その結果、高血圧優位な状態が常態化してしまいます。

井上ら(2015)による職業心理社会的ストレスと仮面高血圧との関連についての報告では、「仕事の要求度が高く,裁量の自由度も高い活動的な男性」に仮面高血圧の有病率が優位に高いことが示されました。2)
よって、
- ◉仕事の要求度が高い社員
- ◉裁量の自由度が高い管理職
これらの立場の社員は特に、「職場高血圧」に気をつける必要があります。
要因②デスクワークによる循環の低下
デスクワーク中心の業務が続くことにより、
- ◉下半身の筋肉がほとんど使われない
- ◉筋ポンプ作用が低下する
結果として、血液が心臓へ戻りにくくなり、循環効率が低下します。
循環が悪くなる結果として、塩分・水分を溜め込みやすくなり、血圧の上昇が起こります。

このような循環不全は、長時間座位が常態化しやすいデスクワーク環境において、特に起こりやすい問題です。
要因③浅い呼吸といきみ
職場では無意識のうちに、
- ◉緊張して呼吸が浅くなる
- ◉体幹や肩周囲が緊張し続ける
といった状態が起こりやすくなります。

これらの「浅い呼吸」や「体幹や肩周囲の緊張」は、
- ◉胸郭の可動性低下
- ◉交感神経優位な状況
が生じることにより、血圧が上がりやすい身体状況へと繋がります。
また、重労働の作業が多い職場では「いきんで重い荷物を持ち上げる」といった状況もあることでしょう。
この、呼吸を止めて力を入れる「バルサルバ法」という手法は、高重量の持ち上げに適しています。
しかし、
- ◉高血圧
- ◉めまい
等が引き起こされやすいため、注意が必要です。
③企業が取り組むべき「職場高血圧の対策」
職場高血圧は、早期に発見し対策を講じることが重要ですが、従業員個人の努力だけに任せるべき問題ではありません。
対策①従業員のストレスチェック
交感神経が優位な状態は、高血圧のリスクとなります。
従業員が、
- ◉業務やプロジェクトに押しつぶされていないか
- ◉不安や緊張が多い精神状態に陥っていないか
- ◉良好な人間関係を築けているか
これらを管理者は把握する必要があります。

定期的に「ストレスチェック」等を行うことも、有効な施策の一つです。
5分でできる職場のストレスセルフチェック(厚生労働省)
参照:https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
対策②従業員の身体的サインチェック
身体環境も高血圧に起因するため、身体症状のサインが出ていないかチェックする必要があります。
- 【職場高血圧のリスク因子になりうる身体的サイン】
- ◉首・肩が凝りやすい
- ◉頭痛がすることが多い
- ◉呼吸がしづらいことがある
- ◉動悸、息切れを感じる
- ◉耳鳴りがする
これらの症状が、職場において現れている場合は注意が必要です。

ただ、高血圧以外の症状も含まれますので、症状が長期に渡り続く場合は、医療機関の受診を推奨致します。
対策③ 運動を「仕組み」として導入する
高血圧には運動が効果的であると言うことは、様々な研究によりわかってきております。
以前のコラムにおいても、「高血圧」に効果的な運動をご紹介させて頂いております。
では「社員に運動をさせよう」と思い立ったとき、「各自で運動してください」という形では、継続することが困難な場合が多いです。
ポイントは、職場環境そのものに組み込むことが重要です。
- ◉業務内で実施可能 →オフィス内に運動スペースの設置(小さくてもOK)
- ◉業務の移動を利用 →1-2階の移動移動は階段を使う

こういった、運動が出来る「仕組み」を作ることが、結果的に「職場高血圧」の対策に繋がります。
④まとめ
職場高血圧は、
- ◉健康診断ではわからない
- ◉しかし企業生産性や離職率には確実に影響する
という、企業にとって見過ごせない課題です。
これは個人の自己管理能力の問題ではなく、職場環境等の見直しで管理可能なリスクです。
理学療法士などの専門家が関与することで、職場高血圧は「治療」ではなく「予防」の段階で対策が可能となります。
従業員の健康を守ることは、結果として企業全体のパフォーマンスと持続性を守ることにつながります。
弊社では、理学療法士などの専門家が出張し、社員様の身体状況をチェックした上で、安全かつ効果的な運動習慣をオフィスに定着させるためのサービス(ヘルスリテラシーセミナー、グループセッションなど)を提供しております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
〈参考文献〉
1)宇賀神ら(2005),White-Coat Hypertension as a Risk Factor for the Development of Home Hypertension
The Ohasama Study(Arch Intern Med Published Online: July 11, 2005)
2)井上ら(2015),職場ストレスと高血圧に関する労災病院多施設共同研究(日職災医誌,63:36─40,2015)
〈記事執筆〉

吉田 亮太郎
【保有資格・修了】
理学療法士
NSCA-CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)
外来整形外科にて数多くのリハビリや運動指導に携わる。
またトレーナーとして、一般層から高校野球選手まで、幅広い層へのトレーニングやコンディショニングの提供を行なっている。
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