2026.7.30

健康経営

「社員の声が、会社を変えていく」──“人とのつながり”から築く中小企業2社の働く環境づくり

健康経営

「休みを取りやすくしたい」「安心して相談できる場をつくりたい」「一人ひとりに合わせて働き続けてほしい」 そんな想いから生まれた、2つの企業の「働く環境づくり」。 制度や流行ではなく、社員の顔が見える距離感から始まった取り組みには、業種や規模を超えて学べるヒントがあります。

“やりがい×働きやすさ”で日本一へ──社員の声が制度になる、イベント21の組織づくり

イベント用品のレンタルを軸に、全国のイベントの現場を支える【株式会社イベント21】。「働きがいのある会社ランキング」でも日本1位に選ばれる同社の、働く環境づくりへの想いを伺いました。 

同社の根っこにあるのは、「働きがい」を“やりがい”と“働きやすさ”の掛け算でとらえる考え方です。 「やりがいと働きやすさは、足し算ではなく掛け算なんです。どちらか一方がゼロなら、働きがいもゼロになってしまう。マイナスなら、マイナスにも振れてしまう」 お客様に直接サービスを届けるイベント業界は、やりがいを感じやすい一方で負荷も大きい。だからこそ「両方をプラスの方向に大きく伸ばす」ことを、社長自らが社員へ発信し続けているといいます。

その象徴が、休日数へのこだわりです。数年前まで年間97日だった休日を「毎年5日ずつ増やす」と宣言し、2026年には120日を実現。サービス業の平均を大きく上回り、業界日本一の年間休日を目指しています。 「休みが取りやすくなったのは、社員からも本当に多く声が上がっています。家族との時間や、しっかり体を休める時間が取れるようになった、と皆喜んでいます。」

特徴的なのは、制度が“現場の声”から生まれる点です。昨年誕生した「マイカントリー休暇」は、ベトナムなど母国と長期休暇の時期が異なる外国人スタッフの「家族と過ごしたい時期に帰りたい」という声がきっかけ。一時帰国のための長期休暇制度として就業規則に組み込まれました。新卒1年目の社員が「こんな休暇があったら」と発案した制度が採用されることも珍しくないといいます。

福利厚生で一番人気なのが、年間約350万円の予算を設けた「コミュニケーション飲み会」。毎月シャッフルされたチームが発表され、さまざまなメンバーで食事に出かけます。全国に拠点が分かれているため出張費も支給され、「奈良から福岡へ」といった交流も。拠点や部署の垣根を越えて人と人との距離が縮まることで、日々の仕事でも相談や連携がしやすくなります。楽しい時間を過ごせるだけでなく、会社全体の一体感や、働きやすい環境づくりにもつながっていることが人気の理由です。 

拠点が全国にある同社では、日々オンラインで全社員がつながって業務を進める一方、年に数回は全員が対面で集まります。 「オンラインは全国どこでもメンバーと交流できる。でも、人と人との温度感は対面でしか伝わらない部分もある。だから両方を大切にしています」 新卒採用は昨年2025年度は23名、平均年齢は26.2歳。社員一人ひとりがやりがいや成長を感じられたり、誰もが働きやすい環境づくりが、そのまま若手の定着と事業拡大につながっています。

◎株式会社イベント21:
URL:https://event21.co.jp/

“働くことが一番の薬”──心理的安全性から始める、プラットワークスの環境支援

人事・労務のプロとして数多くの企業を支援してきた【社会保険労務士法人プラットワークス】。制度づくりにとどまらず、社員一人ひとりの“心”にまで踏み込むその支援について、代表社員の芳賀満さんに伺いました。

芳賀さんが繰り返し口にするのは、「働くことそのものが、一番の薬」という言葉です。 「体を動かして、頭を動かして、周りの人やお客様と一緒に働く。働くことを通じて楽しく働き、幸せに生きる。その一番の土台が“働くこと”だと思っているんです」

近年注目される「心理的安全性」を軸に、社員が安心してチャレンジし、自己実現できる環境をどうつくるか。同法人はカウンセリングによる心のケアだけでなく、人事制度の設計、そして経営者・社員双方の意識改革までを一気通貫で支援します。 社員個人にフォーカスした心理的ケアは、社労士業界では「ほとんどない」と芳賀さんは言います。それでも踏み込むのは、会社に深く関わるなかで、メンタル不調をはじめとするさまざまな課題が見えてくるからです。

「教科書的に“正しい”やり方はあります。法律的に正しいものもある。でも、それが必ずしもその会社に最適とは限らないんです」 法律の範囲内であれば、会社は自由に働き方を決められる。だからこそ、これまで何万社と向き合ってきた経験の蓄積が、その会社ならではの“答え”を導くと言います。 「流行だからやってみよう、という気持ちは1つもない。やってきたことに、世の中の流れが後から乗ってきた、という感覚ですね」

健康ビジョンの構築という上流から、日々の健康管理という具体まで。それを一気通貫で手がける社労士は、決して多くありません。従業員11名に業務委託を含めて約30名、平均年齢は30代半ばという同法人自身も、カウンセリングを取り入れながら、“働くことが薬になる”環境を体現しています。 制度の正しさだけでは、人は幸せに働けない──心理的安全性という土台から環境を整える姿勢が、同法人の支援の根底にあります。

◎社会保険労務士法人プラットワークス:
URL:https://sr.platworks.jp/

「制度」より「人」が動かす、2社の共通点

3社に共通していたのは、働く環境づくりが“制度のトレンド”ではなく、「社員の声が聞こえる距離感」から生まれているという点です。

  • ◉イベント21:現場の声を、休暇制度や交流の仕組みへ
  • ◉プラットワークス:制度の前に、“心理的安全性”という土台を

取り組み方は違っても、目指すゴールは同じ── 「社員が、安心して、長く働き続けられる会社にしたい」という、まっすぐな想いです。 これからの働く環境づくりは、立派な制度を用意することよりも、「一人ひとりの声を聞いて、動くこと」から始まるのかもしれません。

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