2026.7.30

健康経営

「社員は家族」を、どう実践するか──“人への想い”を形にした中小企業3社のリアル

健康経営

「社員は家族だ」「一人ひとりの声を拾いたい」「まずはやってみよう」 そんな想いから始まった、3つの企業の「働く環境づくり」。 塗装・通販・食品製造と業種はさまざまですが、その根っこには“人への想い”を日々の行動に変えてきた歩みがありました。

“親が食う前に、子を食わす”──社員を家族として守る、八代塗装の覚悟

健康経営の認定を5年連続で取得する【株式会社八代塗装】。従業員80〜90名の塗装会社ですが、友田社長の口から出るのは制度の話ではなく、従業員を“家族”として想う一つひとつのエピソードでした。

きっかけは、社長がシンガポール・マレーシアでの技術指導を終えて帰国した時のこと。一緒に働いていた女性事務員が女性特有の病気になり、こう打ち明けたのです。 「子どもの学資保険はずっとかけているけれど、自分の体は何ともないから、と自分の保険は解約しました、と。それを聞いて、“もしかして、みんな保険をかけていないんじゃないか”と思って調べたら、6割くらいがかけていなかったんです」

社長の胸にあったのは、先代から受け継いだ言葉でした。 「小さい会社でも、私が一番トップ。家庭で言えば親の立場です。うちのスタッフは全て子ども。先代からは“親が食う前に、子を食わせ”と言われてきました。自分の子どもだったらどう考えるかな、と思ったのが始まりです」 こうして全社員の保険加入から、環境づくりが始まりました。

取り組みは、制度を用意して終わりにしません。大阪府は子宮頸がん検診の受診率が全国でも低い水準。「私が抜けたら、休んだらみんなに迷惑がかかる」とためらう女性社員のために、午前は仕事、午後は「出張」という業務扱いにして検診へ送り出します。 「仕事中の作業という感覚で、検診を受けさせるようにしているんです」 健康診断でC評価以下が出れば、仕事中にすぐ再検査を予約させる。「8時に出社して、10時に予約を入れて検査に行って、昼過ぎには戻ってくる。休まず、本人も会社も得をするんです」

背景には、社長自身の原体験があります。小学1年のとき、母親を胃がんで亡くしました。 「2つ上の姉と、父と3人になって。父も朝7時には家を出る。普段みんながされているようなことが、自分はできなかった。だから、子どもの小さい社員には“ちゃんと見送ってから、9時でも8時半でもいいから来なさい”と言うんです」

友田社長が大切にするのは、特別な仕組みではなく、当たり前のことの徹底です。 「なんぼいいことを言っても、人と人。幼稚園や小学校で習ったことを、大人こそ確実にやろうよ、と。おはよう、ありがとう、ごめんなさい。子どもができているのに、なぜ大人ができないのか」 従業員を家族として想う一つひとつの行動が、結果として5年連続の認定につながりました。

◎株式会社八代塗装:
URL:https://yatsushiro-pt.com/

パートが主役になれる会社──40年かけて育てた、ホームショッピングの文化

創業40周年を迎えた通販会社【株式会社ホームショッピング】。従業員77名のうち、多くを地域の主婦パートが占めます。経理部に所属しながら、労務・総務・安全衛生までを一手に担う中村さんに伺いました。

40年前、社長の父が奥さまと二人で始めた家族経営からスタートした同社。中村さんが入社した約13年前は25〜26名規模でしたが、いまでは右肩上がりに成長しています。その根底にあるのが、「長時間労働が生産性につながるわけではない」という考え方です。 「昔は残業代を全部出していたので、ダラダラと10時11時までいる、ということが実態としてあった。でも、それが売上につながっているかといえば違う。だったらもうここまで、と決めて、“密度で勝負だ”と方針転換したんです」 結果として、みんなが早く帰るようになりました。

近年は、新卒採用を見据えてホワイト企業・健康経営の認定取得にも積極的です。 「名前を聞いても、どんな会社か分からないと思うんです。でも“健康経営やってるんだ”“ホワイト企業なんだ”と、なんとなく良さそう、というところから捕まってほしくて」 扶養内パートの健康診断を会社負担で実施するなど、施策も多彩。なかでも学びが多かったのが、ウォーキングイベントでした。 「車通勤が多くて、みんな歩かないんです。でも、歩ける人と、そもそも歩けない環境の人とで盛り上がりに差が出て……。“どうせ上位に行かないから”と、参加をやめる人も出て、社内が分断みたいになってしまって」 歩数の絶対値ではなく、期間中の伸び幅や努力を評価する──そんな工夫の必要性に、試行錯誤のなかで気づいていきました。

好評だったのが、産業医による社内でのインフルエンザワクチン接種。予約も休みも不要でその場で打て、昨年は家族の同伴も可能に。子どもを連れてくる社員もいて、家庭内の流行防止にもつながっています。倉庫勤務者の肉体疲労には、理学療法士による運動療法を導入。「給料をもらいながらケアしてもらえる」と、エンゲージメントも大きく上がったといいます。

同社の強みは、パートさんの発言力の強さです。 「正社員が引っ張るだけでなく、全員で。この人数でこの売上を出せているのは、パートさんも含めたみんなの力なんです」 社内の雰囲気を大切にする採用や、退職した社員一人ひとりの理由に向き合う社長の姿勢が、人を大事にする文化を育ててきました。 「“自分は使い捨ての駒じゃない”と思ってもらえるように」。そんなメッセージを、日々小さく発信し続けています。

◎株式会社ホームショッピング:
URL:https://www.homeshopping.co.jp/

“まずやってみる”全員参加の健康経営──マロニーが現場の声から築く働きやすさ

「マロニーちゃん」でおなじみの【マロニー株式会社】。ハウス食品グループの一員として、製造現場を中心に多くの社員が働く同社では、社長自らが健康の責任者を務めます。井上社長、人事総務の佐々木さん、イベントを運営する塚本さんに伺いました。

健康経営を本格的に強化し始めたのは、2021年頃から。 「ハウス食品では“3つの責任”──お客様、社員とその家族、社会に対する責任を掲げています。そのなかで、社員とその家族の健康があってこそ、ということで、取り組みを強化してきました」 とはいえ、グループの仕組みをそのまま持ち込めるわけではありません。 「費用面も規模感も違う。大きすぎて、マロニーには合わないこともある。だからこそ、自社に合った形の仕組みに落とし込むのに苦労もあります」と井上社長は語ります。

同社が大切にするのは、「全員参加」の意識です。製造現場を抱え、テレワークなど柔軟な働き方が難しいなか、年1回、全工場従業員を対象に面談を実施しています。 「事前にアンケートを取るんです。そこから、皆さんの働き方や希望を聞いて、実現につなげていく。声の多かったものから優先順位をつけて、やっていこう、と」(佐々木さん) こうして副業制度やベビーシッター補助などが生まれました。「ワークライフバランスは取れているか」という問いに、意外にも「取れている」という回答が多かったことも、うれしい驚きだったといいます。

健康施策の目玉が、ウォーキングアプリを使った「歩活」です。年4回、約2週間の期間で歩数を競います。 「工場勤務者は日中スマホを持てないので、歩数を付与したり、歩く機会が少ない人も、参加賞がもらえるなど、みんなが参加できる企画を心がけています」(塚本さん) 創業75周年にちなんで「うまい棒75本」を景品にするなど、遊び心も満載。社員175名のうち約130名がアプリを導入し、毎回100名前後が参加する人気ぶりです。昨年の75周年イベントでは、工場稼働日の午前に学習会、午後にバーベキューを開催し、全員参加でコミュニケーションを深めました。

「やって失敗しようか悩むより、やらないよりはやった方がいい 」。その前向きな姿勢が、マロニーの環境づくりを支えています。

◎マロニー株式会社:
URL:https://www.malony.co.jp/

「制度」より「想い」から始まる、3社の共通点

3社に共通しているのは、「人を大切にする」という価値観を、制度や号令ではなく、日々の行動と選択に落とし込んでいる点でした。

  • ◉八代塗装:社員は“子ども”、家族として守り抜く
  • ◉ホームショッピング:パートも社員も、分け隔てなく声を拾う
  • ◉マロニー:まずやってみて、現場の声で磨いていく

取り組み方は違っても、目指すゴールは同じ── 「社員が、安心して、元気に働き続けられる会社にしたい」という、まっすぐな想いです。 これからの働く環境づくりは、特別な施策ではなく、「人を見て、動くこと」──その日々の選択の延長線上にあるのかもしれません。

おすすめの資料

3分でわかる!
Offi-Stretch®

Offi-Stretch®の特長やサービスの流れ、ご導入いただいたお客様の声料金プランなどを詳しくご説明する資料をダウンロードしていただけます。

logo

この資料でわかること

- Offi-Stretch®が実現する働きやすい職場環境
- Offi-Stretch®が必要な理由
- Offi-Stretch®が選ばれる理由
- 導入実績・お客様の声
- 料金プラン
- よくある質問